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Sincere(シンシア)

Sincere(シンシア)へのインタビュー

―シンシア(日本語訳「誠実」)と言う名前の由来は?
 お世話になった人の挨拶文に「人間は音楽によって完成するものだ。(中略)しかしそれは楽器を指すことではない。演奏する人間の心が大切なのだ。(中略)音楽は何のために演奏するのか、何のために聴くのか──。恕(じょ)です。」という言葉がありました。
 そこから恕(思いやり、まごころ)を英語に置き換えてSincereと名づけました。
 それから、これは偶然なんですが、私たちがよく扱う二宮金次郎の考えに『至誠』というものがあります。これは英語に訳すとシンシアリィになるんです。
―なるほど、まさにぴったりの名前ですね。
 そうですね。

―この活動を始めたきっかけは何ですか?
 日本人って何?そのルーツやアイデンティティを知りたいというのがきっかけです。
 私たちは今更江戸時代に戻ることは出来ないけれど、表面には現れて来ない奥深くに根付いている日本人らしさを探求し続けています。

 ただ、日本人的なものを探求し続けているけれども、日本人にしか当てはまらないものを探しているのではありません。世界に発信しても通用するような普遍的なものを目指しています。国際化の激しい今、日本人って何?ということを問われていると思います。それに対しても答えを見つけたいと思っています。

―参加者はどういう方が多いのですか?
 年配の方からの支持が多いです。あとは若い方でも海外体験を持っている方がよく来られます。できれば若い方にはもっと来て欲しいですね。若い方は「日本文化」というと敷居が高いと感じられているようです。一番見てもらいたい人が一番遠くにいる状態なんですよね。

―そういう方に対してシンシアは何を提供していくのですか?
 日本文化を扱うような活動をしている方は、年配の方か、どこそこの家元という人が多いのです。そのような方々から見れば私たちは若いし、プロでもないし、正式なバックがあるわけでもないので、異質な存在なのかもしれません。でも、いい意味で素人感覚を持てているのだと思います。
 日本文化になかなか手を出せない若い方々にとても近い。だから、私たちがプロと素人(一般の方)の懸け橋となって、少しでも敷居を低くしてあげられたらと思います。

―活動のコンセプトは何ですか?
 日本人の心や歴史を学んだりするだけでなく、学んだものを現代の生活に活かそうと思っています。時代を超えて、今も昔も変わらずに使えるものや考え、心を大事にしたいのです。「歴史オタク」、「文化オタク」にはならないようにしています。

―日本文化といっても広いのですが、何を題材にすることが多いですか?
 明治に発行された三冊の本を題材にしています。『武士道』(新渡戸稲造著)、『茶の本』(岡倉天心著)、『代表的日本人』(内村鑑三著)です。これらは海外列強に圧されて、外国の文化を急激に取り入れた時代に、それでも日本には良いものがあると訴えるため、外国人用に英語で書かれたものです。今回のワークショップのテーマである二宮金次郎も『代表的日本人』に詳しく書かれています。

―仕事との両立で活動をするのは忙しくないですか?
 そうですね。でもそれ以上に楽しいです。とても面白くて、熱中しています。ライフワークなんでしょうね。

―今後の活動はどのようにされるのですか?
 来年の2月18日に公演「Japan and The Japanese 中江藤樹 〜藤樹の下の学び舎〜」を予定しています。読者の方にも是非参加して頂きたいです。

―最後にシンシアを一言で表すと?
 「温故創新」。古きを尋ねて、新しいものを創る、これでいきます。

―ありがとうございました。

2005/11/25 白山 ワンズドライブにて